アジアの頂点を決する最終決戦は、東アジアを代表する2チームの激突となった。AFCチャンピオンズリーグ（以下ACL）の決勝戦が、FCソウル（韓国）と広州恒大（中国）によって争われているのだ。
韓国Kリーグのクラブは5大会連続、中国スーパーリーグ勢は史上初の決勝進出である。今回は5大会ぶりにホーム＆アウェイが採用され、第1戦は10月26日にソウルのワールドカップ競技場が舞台となった。平日のナイトゲームにもかかわらず、5万5000人を越える大観衆が詰めかけた。

3人の外国籍選手を前線に並べる両チームは、高い攻撃力を強みに勝ち上がってきた。この試合でも互いの持ち味をぶつけ合い、序盤からスリリングな攻防が展開されていく。



先制したのはFCソウルだった。11分、素早いリスタートからエスクデロ・セルヒオが抜け出し、右足でゴールネットを揺らした。 広州恒大もすぐに反発する。30分、左CKからエウケソンがヘディングシュートを突き刺す。準々決勝から選手登録されたこのブラジル人FWは、これで5試合5ゴールの活躍ぶりだ。

1対1で迎えた後半58分、スタジアムに悲鳴と歓声が交錯する。広州恒大の中国代表FW郜林（ガオ・リン）が、リードを奪うゴールを決めたのだ。
ビハインドを背負ったFCソウルは、デヤン・ダミヤノビッチにボールを集める。ここまで11試合出場で5得点をあげているモンテネグロ代表FWが、真価を発揮したのは83分だ。エスクデロのパスからペナルティエリア内でフィニッシュへ結びつけた一撃が、同点ゴールとなったのである。



試合はこのまま2対2で終了した。
敵地でドローに持ち込み、価値あるアウェイゴールも記録した広州恒大のマルチェロ・リッピ監督は、「チームのパフォーマンスには満足している」と語った。イタリアの名将はさらに「アウェイゴールは重要な要素になるが、まだ第2戦が残っている」と続け、ホームゲームに視線を見据えている。

今大会の広州恒大は、ホームで圧倒的な強さを見せてきた。グループステージから準決勝まで、5勝1分けと無敗を誇っている。しかも無失点である。
先のEAFF東アジアカップ2013に出場した中国代表選手をズラリと揃え、外国人選手のクオリティも高い。国内リーグですでに3連覇を決めており、ACLに集中できるのもアドバンテージとなりそうだ。

FCソウルにも心強いデータがある。今シーズンのACLで、中国スーパーリーグのクラブに負けていないのだ。グループステージで江蘇舜天に連勝し、ラウンド16では北京国安を１勝１分けで退けている。「我々は中国のクラブに負けていない。次のアウェイゲームでも、再び勝利をつかむことを願っている」とは、崔龍洙（チェ・ヨンス）監督のコメントだ。
広州恒大と同じように、こちらも韓国代表クラスを何人も擁する。河大成（ハ・デソン）と高余韓（コ・ヨハン）は、EAFF東アジアカップ2013に出場した。同大会の日本戦で代表初得点を決めた尹日録（ユン・イルロク）は、韓国代表の洪明甫監督も注目する21歳のアタッカーだ。出場停止で第1戦を欠場したベテランの車ドゥリも、アウェイゲームには出場できる。

どちらが勝っても初のアジア制覇となる両チームの角逐は、EAFFのレベルを内外に示す機会と言っていい。注目の第2戦は、11月9日に開催される。