東アジアサッカー連盟(EAFF)を牽引する日本、中国、韓国に、2014年のサッカーシーズンが到来した。2月下旬開幕のAFCチャンピオンズリーグ(以下ACL)に各国の強豪クラブが登場し、国内リーグも3 月上旬に幕を開けたのである。
3月2日にスタートした日本のJリーグは、3連覇を目指すサンフレッチェ広島を他チームが追いかける展開だ。元日本代表MF森保一監督が率いる広島は、攻守における完成度を高めている。前年のJリーグ覇者と国内カップ(天皇杯)優勝クラブが激突した2月22日のスーパーカップでは、ライバルの横浜F・マリノスを2対0で退けた。
そのF・マリノスは、2月26日のACL開幕戦でも黒星を喫した。とはいえ、MF中村俊輔やDF中澤佑二ら、豊富な経験を持つ選手が揃っている。修正能力は高い。素早くチームを立て直してくるだろう。
国内外から注目を集めるのは、昨季リーグ4位のセレッソ大阪だ。現役ウルグアイ代表FWディエゴ・フォルランが加入したのである。
日本代表に定着したMF山口蛍、FW柿谷曜一朗、19歳の新鋭FW南野拓実らが躍動するチームにフォルランがフィットすれば、初のタイトル獲得も現実的になってくる。
絶対王者となった広州恒大を追う他チームが補強を敢行
3月7日に開幕する中国スーパーリーグは、今季も広州恒大が牽引する。マルチェロ・リッピ監督が統べるアジア屈指の強豪には、イタリア代表アレッサンドロ・ディアマンティが加わった。昨季のACL得点王ムリキ、2013年アジア年間最優秀選手に輝いた中国代表MFチョン・チーらの存在も頼もしい。
広州恒大を追走するチームも、戦力は充実している。昨季2位の山東魯能は、ヴァグネル・ラブとアロイシオのブラジル人2トップが強力だ。守備を引き締めるのは、ドゥ・ウェイ、チェン・チェンらの中国代表である。
5シーズンぶりの優勝を期す昨季3位の北京国安は、2月11日にスペイン人のグレゴリオ・マンサーノ監督と契約した。新監督は26日のACLから指揮をとり、サンフレッチェ広島とアウェイで引き分けている。昨季までFCソウルに在籍した韓国代表MFハ・デソンが、貴重なゴールをあげた。
FCソウルから中国スーパーリーグへの移籍では、デヤン・ダミヤノビッチが江蘇舜天へ新天地を求めた。Kリーグで3年連続得点王を獲得したストライカーの加入は、昨季13位のチームを間違いなくパワーアップさせるだろう。
2冠の浦項から王座を奪還するのは?
ハ・デソン、ダミヤノビッチを失ったFCソウルだが、チェ・ヨンス監督はKリーグ王者奪還を期す。タイの強豪ブリーラム・ユナイテッドからスペイン人DFオスマル・バルバを補強し、ブラジル人FWラファエル・コスタも加入したチームは、これまでと変わらぬクオリティを保っている。
昨季2冠の浦項スティーラーズは、何人かのベテラン選手がチームを去った。ファン・ソノン監督は、持ち前のパスサッカーに磨きをかけてさらなるタイトル獲得を目論む。
196センチの長身FWキム・シンウクを擁する蔚山現代は、2位に終わった昨季の悔しさをぶつける。日本代表歴を持つ増田誓志、Jリーグのガンバ大阪でもプレーしたラフィーニャらの主力は健在で、速攻とポゼッションを織り交ぜたサッカーが持ち味だ。
いずれのリーグもハイレベルな争いは必至であり、ACLでの日中韓の対決も興味深い。3カ国のクラブが切磋琢磨することで、EAFF全体のレベルも向上していくだろう。