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10MA トップインタビュー 北マリアナ諸島サッカー協会会長 Jerry Tan氏

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10passion

January 7, 2016

No.51

北マリアナ諸島サッカー協会(NMIFA)について何かを話すと、いつも一つの話題に必ず繋がる。2014年7月23日のマカオ戦で、この島国が国際舞台における歴史的な初勝利を挙げたことだ。

2015年EAFF東アジアカップ予備予選ラウンド1の試合に2-1の勝利を収めたことは、誕生からまだ10年を経てもいないサッカー協会にとって大きな意味を持つ一歩だった。だが2005年に設立され、EAFF加盟協会の中でも最も新しい協会であるNMIFAは、このような結果よりも遥かに先の場所にその目標を定めている。


「マカオ戦の勝利は非常に特別なものではあったが、こういった喜びはごく短期的なものでしかない。」とNMIFAのJerry Tan会長は語る。「私が日々前進を続けているのはこのような勝利が目的なのではない。この島の人々に、世界ナンバーワンスポーツへの関心を持ってもらうこと、それが目的なのだ。」

2002 FIFAワールドカップを終えた後、グアムを拠点に活動するビジネスマンだったTan氏は、親しい友人であるグアムサッカー協会のリチャード・ライ会長の後押しを受けて北マリアナ諸島でのサッカー発展に取り組むことになった。183平方マイルの面積にわずか5万2千人あまりが暮らす島国である。米国自治連邦区でのテレビ放送はアメリカンスポーツが大半を占めているため、サッカーを推進する人々には情熱も忍耐も必要だった。

「誰もが野球やアメリカンフットボール、バスケットボールに夢中になっている。サッカーはテレビで目にすることすらない。子供たちと話をして『このスポーツをやってみないか?』と勧めるのも難しい。」とTan会長。

「今でもサッカーはテレビでそれほど放送されないが、我々にはインターネットがある。関心を持った子供たちはネットで観戦することもできる。一度サッカーを知り、体験してみれば、プレーすることにも関心を持ってもらえるはずだ。」

若年層を対象としたNMIFAの活動プログラムにより、サッカーは学校の現場で人気を高めている。サイパン島にライセンスを持った指導者が不足していることはプログラムを推進する上での多くの課題の中の一つだが、サッカーは年間を通して試合が行われること、海外での活動の機会も得られることなどから、シーズン中のみ行われる野球などと比べて大きな魅力となっている。

「体育教師たちは、以前はただ我々の要請に応えてくれるだけだった。今では彼らが自らサッカーの興味深さについて説明してくれるようになった。」


「コーチングクリニックを開催するたびに、また来てほしいと頼まれるんだ。彼らが指導者として資格認定される可能性についても説明を行っている。そうなれば、我々の活動を手助けする次の一歩になってくれるはずだ。」

「2014年には、6つの年代別代表チームを海外へ送り出すことができた。これは北マリアナ諸島における他のどのスポーツでも不可能なことだ。小さな島に住んでいる子供たちが、北京やタイやラオスなどへと旅するチャンスを得られる…子供たちにとっては大きな体験だよ。飛行機に乗るのが初めてだという子もいるね。」

NMIFAの前進に関して、おそらく最も印象的な部分-それはFIFAの援助を受けることなく進められてきたということだ。FIFAの「ゴール・プログラム」は、ピッチや練習施設、その他の必要とされるインフラ整備のための資金を提供することで、グアムなどアジアの他の小国に恩恵をもたらしてきた。だがNMIFAは、FIFAからの援助を受けるのではなく、現代表監督の関口潔やスタッフ派遣を行った日本サッカー協会などの提携先から支援を得ることにより、堂々とFIFAの210番目の加盟メンバーになることができるとTan会長は信じている。


「我々がこの10年間にやってきたことや今も継続しているプログラムに目を向けた上で、私の知識や我々の業績を基にして考えれば、FIFAに加盟できる資格はあると思っている。」とTan会長は語る。「現在FIFAで起こっていることは周知の通りであり、我々は忍耐強く待つしかない。適切な時期が来れば、新たなFIFA上層部と対話するつもりだ。フェアで客観的な者たちが上層部に就任し、我々のやっていることに関心を持ってくれると願いたい。」

Tan会長は、12学年で合計1万1千人あまりを数える北マリアナ諸島の学生人口の半分をサッカーに引きつけることを長期的な目標としている。この目標を達成できればサッカーをプレーする若年人口は2千人増加し、その後10年間のうちにいくつかの年代別代表チームを国際舞台に送り出すことが可能になる。そうなればこの国のサッカーの基礎をさらに強化することが可能となる。

Tan会長が特に誇らしく感じているのは、彼の推進する女子サッカープログラムだ。協会設立以来、彼は早い段階からこのプロジェクトに強く取り組んできた。

「この島の少女たちや女性を対象としたスポーツプログラムは限られている。少年・男性のスポーツばかりが重視されており、チームスポーツにおいては特にその傾向が強い。」

「当初の女子代表チームは、主に30代のアメリカ人教師たちで構成されていた。我々の女子チームの土台となったのは、サイパンに家を持ち、何年もその地で仕事をしてきた30代のアメリカ人女性だった。だが4年ほど前から、ようやく若い人たちの参加を目にすることができるようになり始めてきた。」

「2009年のことだが、初代の女子代表選手たちが年齢的に厳しくなってきたと訴えてきた。そのうちの一人が『運動能力の高いバスケットボール選手を何人か集めて、サッカーに興味を持たせることはできないだろうか?』というアイディアを出したのだ。そこで女子バスケットボール選手を何名かバスケットコートに連れて行き、夜にはフットサルをプレーした。翌年にはグアムで開催されるEAFF女子東アジアカップ予選への参加が予定されており、準備ができていようができていまいがプレーすることになっていたんだ。」

「今の我々の女子チームは15歳や16歳、17歳といった非常に若い選手たちだ。サッカーをプレーする少女たちは増加しており、それも我々の達成した成果の一つと考えている。この島のスポーツの中で、最も大きな女子のチームとなることができた。」


サッカーを情熱的に支持するTan会長は、現地の草の根コミュニティの長期的な発展にも専念し続けている。2016年にはこの島で最初の人工芝グラウンドを建設する計画も進められている。

「私は生涯をかけてサッカーを愛し続けてきた。今でも、少なくとも週に1回か2回はプレーを続けているよ。サッカーを知ることで人々の生活は本当に変わる可能性があるし、人々にチャンスを与えることもできる。若者たちに対しては特にそうだ。子供たちの健全な環境を守り、ドラッグなどから遠ざけておくことができる。そういうことが私に幸福をもたらしてくれるのだ。」







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